
「この設定、前にも調べた気がするけれど、どこに書いたか思い出せない」。複数のツールや案件を横断して運用していると、こうした場面に何度も出くわします。担当者が変わったり、しばらく時間が空いたりすると、せっかく調べて確定させた情報が埋もれてしまい、また一から探し直す。今回は、私自身の現場で実際に起きた「同じ調べ物を繰り返していた」失敗と、それをなくすために取り入れたごく小さな工夫についてお話しします。取り入れたのは、たった一枚の表だけです。
同じような心当たりはありませんか
「探せば見つかるはずなのに毎回聞かれる」情報が、自社の運用にも埋もれていないか確認できます
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「同じ質問を何度もされる」現場で、実際に起きていたこと
ある集計作業を進めていたときのことです。特定の指標を出すために使っていた集計元(データベースやビューのようなもの)について、「正確な名称は記録されていないので、この場では断定できない」と回答してしまいました。ところが実際には、その情報は数日前の別の調査で既に確認済みで、過去の作業メモにきちんと書かれていたのです。
「同じ集計をまた一から確認しているようだが、これまでの記録は活きているのか」という指摘を受け、はじめて自分の見落としに気づきました。原因は単純で、ひとつのキーワードだけで過去のメモを検索し、関連する別の言い回しでの横断検索をしていなかったことです。せっかく記録は残していたのに、探し方が浅かったために「ない」と誤認してしまったわけです。情報が「存在しない」のか「見つけられていないだけ」なのかは、実は見分けがつきにくいのだと痛感しました。
見落としの原因は「探し方」にあった
振り返ってみると、これは情報が不足していた問題ではありませんでした。むしろ、情報は蓄積されていたのに、それを引き出す仕組みがなかったことが本質的な原因でした。特に、プロジェクトを横断して繰り返し必要になる識別子(システムの管理番号や集計対象の名称など)は、案件ごとの作業メモの中に埋もれてしまいやすく、必要になるたびに一件ずつ探し直す非効率が生まれていました。
こうした「探せば見つかるはずなのに、毎回同じことを聞かれる」状況には、いくつかの共通点があります。
- 担当者の頭の中では整理できているが、書き出されていない
- 書き出されてはいるが、案件ごとのメモに分散していて横断的に探せない
- 検索する側が、記録されている言い回しと違うキーワードで探してしまう
どれも、悪気があってサボっているわけではなく、日々の業務をこなす中で自然に生まれてしまう状態です。だからこそ、個人の注意力に期待するより、仕組みで防ぐほうが確実だと考えました。
取り入れた対策は「一枚の早見表」でした
取り入れた対策はとてもシンプルです。繰り返し必要になる識別子や設定値を、案件ごとの作業メモとは別に、一箇所にまとめた「早見表」を新設しました。新しい情報が確定するたびに、まずこの早見表に追記する。何かを調べる必要が出たときは、個別の作業メモを掘り返す前に、まずこの早見表を確認する。ルールはそれだけです。
あわせて、実際にその情報を使って処理を実行し、結果が正しく得られることを自分の目で確認したうえで、早見表の記載を「未確認」から「確認済み」に更新しました。さらに、過去の別の記録と突き合わせて数値の継続性を検証し、情報の信頼性を裏付けました。早見表に書いたら終わりにせず、実際に使ってみて確かめてから確定させる。ここまでをワンセットにしたのがポイントです。
早見表を機能させるための3つのポイント
ただ表を作っただけでは、しばらくすると更新されなくなり、また誰も見ない資料になってしまいます。実際に運用してみて、続けるために必要だと感じたポイントは次の3つです。
- 「確定情報」と「未確認情報」を分けて書く。調べている途中の情報も、あえて「未確認」のまま残しておくことで、後から別の人が確認作業を引き継げます。
- 使ってみてから確定させる。書いただけの情報は、書いた本人にしか信用できません。実際にその情報で処理が通ることを確かめてから、はじめて「確定」に格上げします。
- 気づいた人がその場で追記できる状態にしておく。更新を誰か一人の担当に集中させると、その人が忙しいときに更新が止まります。気づいた人がすぐ書き足せる、身軽な置き場所にしておくことが長続きの条件です。
属人化は、担当者が優秀なほど気づきにくい
今回の一件で感じたのは、属人化した情報は、担当者本人が優秀で几帳面であるほど気づきにくいということです。本人の頭の中では整理できているので、日々の業務には支障が出ません。しかし、少し時間が空いたときや、担当者以外の人が同じ情報を必要としたときに、初めて「どこにも一覧化されていない」ことが表面化します。
Web担当者が不在・兼務でも、仕組みで属人化を防ぐという選択肢
外部の伴走者が入ることで、日々の運用に「早見表」のような仕組みを組み込み、担当者が変わっても回る体制をつくれます。
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