
「検索からの流入が落ちている」という報告を受けたとき、最初に疑うべき場所はどこでしょうか。順位の低下、競合の台頭、アルゴリズムの変化など、候補はいくつも挙がります。今回ご紹介するのは、ある専門性の高い情報を扱うサイトで、検索経由の流入が前年同期と比べて2割前後減っていたときに実際に行った、地味な切り分け作業の記録です。
最初に浮かんだ仮説は「一部のページが検索エンジンにクロールされなくなっているのではないか」というものでした。確認を進める中で、実際にその仮説を裏付けるような表示が見つかります。ただ、見つかったからといって、そのまま報告に使ってよいとは限りません。検索流入の数字は社内外への報告にそのまま使われることが多く、誤った仮説のまま報告してしまうと、的外れな対策に時間を使うことになります。
30秒で現状を整理
検索流入の減少、要因を分解して確認できていますか?
「検索流入が落ちている」という事実だけで終わらせず、何が主因かをAIによる評価も交えて30秒で確認できます。
「ブロックされています」という表示が出た
検索経由の主要な着地ページをいくつか選び、Search Consoleの検査機能で確認したところ、一部のページで「robots.txtによってブロックされました」という表示が出ました。検索結果からの主要な入口になっていたページでこの表示が出たことで、これが流入減少の主因だろうという見立てが、この時点では強くなっていました。
仮説をそのまま信じず、影響の大きさを確認する
ここでいったん立ち止まり、ブロック表示が出たページだけを取り出して、前年同期比の減少率を確認しました。結果は、2割に届かない程度の減少で、サイト全体の減少幅とほとんど変わらない水準でした。ブロックされているはずのページが、他の継続中のページと同じ程度の減り方しかしていない。この数字を見る限り、ブロック表示だけを流入減少の主因と考えるのは無理があります。
この確認には、Search Consoleの実績データと、アクセス解析側の流入データの両方を使いました。異なるツールで同じ着地ページを見ても、減少率がサイト全体とほぼ同じ水準になることを確かめた上で、次の分解に進みました。
ページ単位で分解すると、別の構造が見えてきた
そこで、検索経由の流入を着地ページ単位まで分解してみました。全体の減少分のうち、特定のページ群だけがほぼゼロに近い水準まで落ち込んでおり、その一部のページ群の落ち込みだけで、全体の減少の6割台後半を占めていることが分かりました。残りの継続中のページは、合計しても1割程度の自然な減少にとどまっていました。
検索流入の減少の内訳(概算)
前年同期比・着地ページ単位で分解した概算の構成比
| 要因 | 減少全体への影響(概算) |
|---|---|
| 特定ページ群のほぼゼロ化 | 6割台後半 |
| 告知ページへの転送で戻った分 | ▲1割程度(減少を相殺) |
| 残りの継続ページの自然減 | 1割程度 |
ポイント:ブロック表示が出ていたページの減少率は、サイト全体とほぼ同水準でした。減少の主因は特定ページ群の落ち込みにあり、ブロックの影響は限定的です。
「サイト全体がじわじわ検索に弱くなっている」という見立てと、「特定のページ群だけが大きく落ち込んでいる」という見立てでは、打つべき対策がまったく違います。前者であれば全体のコンテンツ強化が優先事項になりますが、後者であれば、その特定のページ群に何が起きたのかを個別に調べる方が優先度が高くなります。
消えたページの行き先を追う
ほぼゼロになっていたページ群を1つずつ実機で確認したところ、404にはなっておらず、同じ系列の告知用ページへ転送されていることが分かりました。該当するURLを実際にブラウザで開いて挙動を確かめ、データ上の推測を裏付けています。ページごとに転送先が振り分けられている作り方から、事故的な削除やサーバーエラーではなく、事業側の判断で意図的に行われた整理だと判断できました。
転送先の告知ページに検索流入がどれだけ移っているかも確認しましたが、戻ってきた分は全体の1割程度にとどまっていました。転送したからといって、流入がそのまま維持されるわけではないという結果です。
「主因ではない」と、分からないことまで決めつけない
ここまでの確認で、流入減少の主因は特定ページ群の計画的な整理にあり、表示上のブロックの影響は限定的だと判断しました。ただし、ブロック表示自体がいつから出ていたのか、実際のクロールにどこまで影響していたのかは、今回のデータだけでは特定できていません。「影響が限定的だった」という判断と、「まったく無関係だった」という判断は別物です。分かっていないことを分かったことのように書かないよう、ここは保留のまま次の確認に進むことにしました。
まとめ
今回の一件で持ち帰ったのは、「最初に見つかった仮説をそのまま使わない」という姿勢です。ブロック表示という目立つ材料が出てきたときほど、それだけで結論を出さず、影響の大きさを数字で確認する一手間が必要になります。検索流入が落ちたという事実を見たら、まず着地ページ単位まで分解してみる。確認が終わるまでは、目立つ材料ほど主因と決めつけない。この2点を運用に組み込んでおくことを、改めておすすめします。
あわせて読みたい
検索流入の減少を要因ごとに分解して確認したい方は、SEO・コンテンツ戦略の伴走サービスで、Search Console・GA4を使った検証設計からご相談いただけます。まずは現状を相談したい場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
CONTACT
Web集客のお悩み、一緒に解決しませんか?
「何から手をつければいいか分からない」「施策を実行するリソースがない」——
外部Web責任者として、戦略立案から施策の実行・改善まで伴走します。
