
ナーチャリング施策の「振り分け成功率」という数字を、どこまで疑ったことがあるでしょうか。配信ストリームの設計やコンテンツ作成には相応の工数がかかるので、成功率が低いと分かれば、まず配信ロジックや文面を見直したくなります。ただ、ロジックより先に疑うべき場所が、母数そのものにあることもあります。
今回ご紹介するのは、専門職向けの会員制サイトを運営する企業で、マーケティング施策の設計・運用を伴走する外部パートナーと一緒に、ナーチャリング施策の進捗を確認していたときのやり取りです。興味関心に応じて会員を複数の配信ストリームに振り分ける設計を運用していましたが、直近の確認では、狙った通りには振り分けられていない会員が大半でした。
30秒で現状を整理
配信対象、そのまま信じていませんか?
ナーチャリングの成果が伸びない原因は、配信ロジックより先に対象リストの設計にあることがあります。AIによる評価も交えて30秒で確認できます。
「振り分け成功率10%」をどう受け止めるか
ナーチャリングの振り分け成功率は、直近の確認時点で一桁%から10%程度でした。配信先ごとに多少の差はありましたが、いずれも狙った水準には届いていません。この数字をどう受け止めるかで、次に打つ手はまったく変わります。配信文面を見直すのか、振り分けロジックを作り直すのか、それとも母数そのものを疑うのか。手を動かす前に、まずこの数字が何を測っているのかを確認することにしました。
振り分けの設計自体に時間をかけていたので、「ロジックが甘いのではないか」という方向にまず目が向きます。ただ、配信先を増やしたりコンテンツの出し分けを細かくしたりする前に、そもそも配信対象がどういう人たちで構成されているのかを確認しておく方が、手順としては先だと考えました。
母数に、眠っている人がどれだけ含まれているか
配信対象のリストを確認すると、長期間にわたって開封もクリックもしていない会員が、相当数含まれていました。感覚的に「結構いるだろう」とは思っていましたが、具体的な比率までは誰も確認していませんでした。母数の半分以上がこうした会員だとすれば、配信ロジックの出来がどれだけ良くても、振り分け成功率には上限があります。眠っている人に、どれだけ興味に合ったコンテンツを出しても、開かれなければ振り分けは成立しません。
そこで、長期間反応がない会員を母数から除外した上で、振り分け成功率を出し直しました。結果は、除外前よりは改善したものの、依然として一桁%から10%程度の範囲にとどまりました。配信先によって改善幅にも差がありました。
母数を見直す前と後で、何が変わったか
長期間反応がない会員を外しても、振り分け成功率の水準は大きくは変わらなかった
| 母数の取り方 | 振り分け成功率 |
|---|---|
| 配信対象リスト全体(除外なし) | 一桁%前半〜10%程度(配信先によって差) |
| 長期間反応がない会員を除外した母数 | 一桁%〜10%程度(改善幅は配信先ごとに異なる) |
ポイント:母数を見直しても水準自体は大きく変わらず、「振り分けロジックの精度」だけが論点ではないことが見えてきました。
精度の問題ではなく、設計の問題だった
母数を見直しても水準がそれほど変わらなかったことで、論点が一段動きました。「振り分けロジックの精度を上げる」という方向だけでは、今回の数字は大きく改善しなかったはずです。問題の本体は、配信対象をどう区切るかという設計の方にありました。長期間反応がない会員を一律に除外するのではなく、どのタイミングで配信を止めるか、休眠に近づいた会員にどんな入口を残すか、そうした設計をあらためて組み直す必要がある、という方針に落ち着きました。
クライアント側の責任者からも、ナーチャリングに限らず、会員への接点そのものに最低限の仕組みが足りていないという指摘がありました。まず誰にでも当てはまる基本的な接点を整え、その上で、重視したい層にだけ追加の施策を重ねる、という2段構えで考える方針です。ナーチャリングの精度だけを個別に磨くより、全体の設計を先に見直す方が、遠回りに見えて近道になることがあります。
この経験から学んだこと
施策の成果を測る指標が低いとき、先に疑うべきはロジックや文面ではなく、その指標がどんな母数の上で計算されているかです。母数に、そもそも反応しようがない対象が混ざっていれば、どれだけロジックを磨いても成果は頭打ちになります。
今回は母数を見直しても水準自体はそれほど変わりませんでしたが、「ロジックの精度ではなく設計の問題だ」という切り分けができた点に意味がありました。原因を探す順番を間違えると、本来は不要な改修に時間をかけてしまいます。指標が低いと分かったら、まず対象リストの構成を確認してください。
マーケティングと営業が連携する施策では、この母数の問題はさらに影響が大きくなります。営業に渡す情報の精度は、その手前にあるナーチャリング施策の母数設計に直結しているので、営業側からの評価が思わしくないときも、まず配信対象の構成から確認してみてください。
まとめ
ナーチャリングの振り分け成功率が低いとき、配信ロジックの精度を疑う前に、配信対象の母数そのものを確認してみてください。長期間反応がない会員がどれだけ含まれているかを把握するだけで、問題の在りかが「ロジック」から「設計」に移ることがあります。目の前の数字を改善しようとする前に、その数字が何の上に乗っているかを確かめる手順を、ぜひ一度試してみてください。
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