ターゲット選定とポジショニング(STP分析)

マーケティング戦略を成功させるためには、「誰に」「どのような価値」を提供するのかを明確にすることが重要です。そのために活用されるのが STP分析(Segmentation, Targeting, Positioning)です。

STP分析を行うことで、企業は自社の強みを活かせる市場を特定し、競争優位性を確立することができます。本章では、STP分析の概要と具体的な進め方について解説します。


STP分析とは?

STP分析とは、市場を細分化し(Segmentation)、最適なターゲットを選び(Targeting)、競争優位性を確立するポジショニング(Positioning)を決定するプロセスです。

項目内容
Segmentation(セグメンテーション)市場を細分化し、顧客層ごとの特徴を把握する
Targeting(ターゲティング)どのセグメントを狙うかを決定する
Positioning(ポジショニング)競争優位性を確立し、市場内での立ち位置を明確にする

STP分析を行うことで、自社の強みを活かし、最も効果的なマーケティング戦略を立案することが可能 になります。


1. 市場の細分化(Segmentation)

セグメンテーションとは、市場を共通の特性を持つ顧客グループ(セグメント)に分けるプロセスです。市場を細分化することで、ターゲットのニーズをより深く理解し、最適なマーケティング施策を打ち出すことができます。

主なセグメンテーションの種類

市場の細分化には、以下の4つの視点があります。

セグメンテーションの種類内容
地理的(Geographic)地域、国、都市、気候など
人口統計的(Demographic)年齢、性別、職業、収入、学歴など
心理的(Psychographic)ライフスタイル、価値観、趣味、性格など
行動的(Behavioral)購買動機、使用頻度、ブランドロイヤルティなど

セグメンテーションの活用例

例えば、化粧品ブランド の場合:

  • 地理的要因:「湿気の多い地域向けのスキンケア商品」
  • 人口統計的要因:「20代女性向けのメイクアップブランド」
  • 心理的要因:「ナチュラル志向の人向けのオーガニックコスメ」
  • 行動的要因:「美容雑誌の購読者向けのプロ仕様の化粧品」

セグメンテーションを適切に行うことで、ターゲットのニーズに合致した商品やサービスを提供することができます。


2. ターゲットの選定(Targeting)

ターゲティングとは、セグメンテーションで分類した市場の中から、最も自社の強みを活かせる顧客層を選定するプロセス です。

ターゲティングの主な戦略

ターゲティングの手法には、以下の3つがあります。

ターゲティング手法内容
無差別型マーケティング(Mass Marketing)すべての市場に同じ製品・サービスを提供
差別型マーケティング(Segmented Marketing)複数のセグメントに対し、異なる施策を展開
集中型マーケティング(Niche Marketing)特定のセグメントに焦点を当て、強みを活かす

ターゲティングの選定基準

ターゲットを選定する際には、以下の基準を考慮します。

  1. 市場規模:十分な顧客数が見込めるか
  2. 成長性:将来的な市場拡大が期待できるか
  3. 競争環境:競争が激しすぎないか
  4. 収益性:利益を確保できる市場か
  5. 自社の強みとの適合性:競争優位性を発揮できるか

ターゲティングを適切に行うことで、競争力のある市場で効率的にマーケティングを展開できます。


3. 競争優位性の確立(Positioning)

ポジショニングとは、選定したターゲット市場に対して、競合との差別化を図り、自社の立ち位置を明確にするプロセス です。

ポジショニングの主な戦略

ポジショニングを確立するためには、以下のようなアプローチがあります。

ポジショニング戦略内容
価格優位戦略低価格で市場シェアを獲得
品質・高付加価値戦略高品質・プレミアムブランドとして位置づける
独自性戦略他社にはない独自の機能やサービスを提供
利便性戦略購入のしやすさや使いやすさで差別化

ポジショニングマップの活用

ポジショニングを視覚的に整理する方法として ポジショニングマップ を活用します。これは、縦軸・横軸に異なる価値(例:価格 vs 品質)を設定し、市場における自社の立ち位置を明確にするものです。ポジショニングマップを作成することで、競争環境を理解し、最適な市場戦略を立案できます。


まとめ

STP分析は、マーケティング戦略の基盤となる重要なフレームワークです。

  • Segmentation(市場の細分化):ターゲットごとの特徴を把握する
  • Targeting(ターゲットの選定):自社に適した市場を選ぶ
  • Positioning(競争優位性の確立):競合との差別化を図る

適切なSTP分析を行うことで、自社の強みを活かし、最も効果的なマーケティング戦略を構築することが可能 になります。

次回は、マーケティング施策の設計(4P・4C分析、バリューチェーン分析) について詳しく解説していきます。

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