CVをKPIにする前にやるべきこと|“売上につながる”CVの可視化と戦略思考

「CV数=成果」という誤解

WEBマーケティングの現場では、「CV(コンバージョン)数をKPIに設定している」という企業が非常に多く見られます。確かに、CVはユーザーのアクションを定量的に把握できる便利な指標です。しかし、「CV数さえ増やせば売上が伸びる」という考え方は危険です。

なぜなら、CV数の増加=売上増加とは限らないからです。たとえば、CV単価(CPA)が下がっても、それが「質の低いCV」であれば、売上にはつながりません。そこで重要になるのが、「CVの価値」を見極める視点です。

この記事では、CVを単なる数値ではなく「売上に直結する指標」として活用するための戦略的な考え方と実践方法を、実務視点で解説していきます。


CV数をKPIに設定することの落とし穴

CV数を主要KPIに据えることは一般的ですが、それがすべてではありません。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 無料資料請求が増えたが、営業につながらない
  • お問い合わせ件数が増えたが、商談化率が下がった
  • LINE登録数が増えても、CV後の行動が見られない

これらはすべて、「CVの“質”に目を向けていない」ことで起きている問題です。

単にCVの件数だけを追うと、一時的に成果が出ているように錯覚してしまいます。しかし、それが成約・受注につながらなければ、費用対効果は悪化し、マーケティングの方向性もブレてしまいます。


「1CVの価値」が戦略を変える

ここで注目すべき指標が、**1CVあたりの売上想定価値(CV単価ではなくCV価値)**です。

1CVの価値=LTV × 成約率

以下のような数式で算出できます。

1CVの価値(円) = 平均顧客単価 × 成約率(またはCV後の遷移率)

たとえば以下のような場合を考えてみましょう。

項目数値
平均顧客単価¥100,000
CVから商談への転換率30%
商談から成約の確率50%
→ 1CVあたりの価値¥15,000

このように、1件のCVが実際にどれだけの売上を生むかを「金額ベース」で把握することで、投資判断や施策優先度が明確になります。


可視化のために必要なデータとは

1CVの価値を可視化するには、以下のデータが必要です。

Google Analytics(GA4)

  • CVポイントへの遷移率
  • LP・流入経路ごとのCV数
  • CV後の行動(イベントトラッキング)

CRM・営業管理ツール

  • CVごとの商談化率
  • 営業ステータスの遷移データ
  • 成約単価・LTV情報

これらを連携することで、「どの流入経路」「どのページからのCVが売上につながりやすいか」が見えてきます。


中小企業でもできる!CV価値の可視化&改善フロー

中小企業の場合、リソースやツールが限定されているケースも多いですが、以下のステップで実践可能です。

ステップ1|CV種別の定義を明確にする

たとえば「問い合わせ」と一言で言っても、資料請求、相談、価格問い合わせ、採用など多岐にわたります。それぞれのCV種別ごとに売上への貢献度を明確にする必要があります。

ステップ2|営業との連携で成約率を把握

マーケティング部門だけで完結せず、営業部門と連携して成約率を収集します。ここで重要なのは、「CV後のフォローがされているかどうか」も含めて検証することです。

ステップ3|ページ単位でCV価値を比較

LPやブログ、サービス紹介ページなど、どのページ経由のCVが“質が高い”かを分析します。低品質CVが多いページは改善対象となります。

ステップ4|改善→再検証を回す

PDCAサイクルを設計し、「質の高いCVを獲得するための施策」を継続的に検証します。


【事例紹介】CVは減ったのに売上は1.5倍に増加

あるBtoB企業の事例では、CV数を追うあまり、コンバージョンポイントを増やしすぎた結果、「質の低いCV」が増加。営業の負担も増え、実際の受注率が大幅に低下していました。

そこで、「1CVあたりの価値」でCVポイントを再定義。質の高いCVに絞ることで、CV数は3割減少したものの、成約率と平均受注単価が向上し、結果的に売上は1.5倍に増加しました。

この事例が示すように、CVの“数”ではなく“質”に注目することで、WEB施策はより成果に直結するものへと変わっていきます。


KPIは“売上に結びつくCV”で設定しよう

WEB施策を成功に導くためには、「数のCV」ではなく「意味のあるCV=価値あるCV」をいかに獲得するかが鍵です。そのためには、

  • CVをKPIに設定する前に、その価値を可視化する
  • 成果につながるCV導線を把握・強化する
  • データ連携と部門連携を通じて、戦略的に改善を回す

といった本質的な視点が求められます。


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